上位の批判的レビュー
5つ星のうち1.0また、悪いのは教員だ!の持論を展開。問題の本質がわかっていない
2018年6月23日に日本でレビュー済み
いつもながら、事実はよく調べているが、解釈と未来に対する青写真が何も描けていない。
このような状況を生んでいるのは、現場の教員が知らずの足らずで能無しと言わんばかりだ。
確かに、この著者が指摘するような教員がいないわけではない。しかし、現場で日々悪戦苦闘している教員を馬鹿にしすぎている。
給特法が諸悪の根源!そんなの皆わかっている。しかし、この悪法を正す政治力が今の教員にはない。組合はほとんど機能していない。教育現場の改善をしようにも、諸制度を仕切っているのは、中央教育員議会、文科省、教育員会である。教育業界ではこの3者が強者で、常にこの3者に従わざる負えない弱者が教員なのである。どんなに現実的な提案をしても、教育委員会からこの研究をやれ、この研修を受けろ、このテーマで教育実践せよ等々、出世を考えている人は、校長や教育委員会にこびを売って頑張っちゃう。周りの普通の教員はそれに巻き込まれ、えらい迷惑をこうむるのがいつもの構図である。
現場の教員ができることは、ネットでつぶやくことくらいである。(ネット社会の今日においては、ある程度の力を持つが、、、)
○給特法をどのように改正したらよくなるの?→なくして残業代支払うなら1兆近く予算を準備する必要がある→無理。
○仕事を減らせ→部活動縮小、廃止。→超盛んな部活を異動の際に引き継ぐと確かに大変だが、通常の部活は既に適性範囲に近づいている。
→実際に運動部を引き受けきつい教員はそれぞれの学校で何割くらいのなの?
→20~30人いる中規模校の教員の大半は、文化部や運動部の副顧問で、部活の”ゆとり化”をしたところでその恩恵はごくごく悲惨な状況の部活を引き受けた教員のみである。→現状の部活の制度が良いわけで決してなく改善が必要であることは確かである。
一番大きいのは、この20年近く、毎年のように中央教育審議会で、無限に仕事を押し付けてきた業務である。(なんせタダで仕事をさせることができる法律があるためである。)
今から、給特法をどう改正するの?そもそもお金の出所がないのだから、答えは、押し付けてきた取り組みを廃止、簡素化するしかないのである。これは、いろいろな意見は現場からあげられるが、それを吸い上げ、実行力のある施策にするのは、教育委員会、文科省なのである。
「現場の教員が、動かないからダメだ」というこの著者の考えはいささか浅いとしか言いようがない。(文科省もお得意先だからだろうか?)
今は、まず、労働時間の正確な把握を、、うちの学校にも要請がきた(エクセルシートで管理)、、、でも、先日、そのデータを改ざんする副校長のニュースが報じられた。東京都は過労死ラインの月60時間までは仕事させて、それを超える場合は、管理職の管理能力不足と言わんばかりの通達を出しているようだ。
ふざけた話である。仕事を減らさないで、時間を減らせと言われていても、昼間はほぼすき間なく授業が入り、唯一の空き時間や放課後も、問題行動の生徒指導や保護者対応、行事の準備等で、物理的に何とかできる状況ではないのである。
●観点別評価→外部テストで対応、
●総合(職場体験)→学校単位でなく地域単位で教育委員会がやる、
●部活→地域の体育協会等と連携し時間外(土日や、PM5:00 以降は地域指導者と協働で)
●勤務時間外の電話は教育委員会で一括対応(緊急性のあるもの以外は翌日へ)
●研究授業の授業者に何らかのインセンティブ(手当、昇進等、研修免除等)→昔はケチョンケチョンに事後にけなされたが、最近は、辞めちゃう若手もいるので優しいアドバイスのみになってきているが、。
●教育委員会の研究事業の廃止。(やるなら、校長にインセンティブでなく、現場教員にインセンティブを与える)
(現状、研究事業は、校長の点数稼ぎで、人事で優遇してもらうために無理に校長に手を上げさせている)
●休憩時間など学校に生徒を置いている(部活動や放課後活動で最終下校時刻 例:PM6:30)まで取れる状況ではない。
→労基法上は、、、、と言っていも、現場を預かるものとしては、第3者的に業務を完全に移行できる人材を雇わない限り、何かあるたびに動かなければならないし、現実、ほとんど何かしら生徒、保護者対応をしているのがほとんどである。→休めるやタイミングには積極的に休める制度の構築(長期休みに必須の研修を入れすぎて、長期休みで連続休暇が取りにくい、特に前半は)
最後に、このような職場のため、優秀で志高い教員は減り、採用試験の倍率はどんどん下がり、服務事故た多発している。
多分、行くところまで行って、破綻してからでないと多分、有効な給特法の改正は行われないと思うのは私だけではないであろう。
いつの時代も、被害者は、弱者なのだから、、、、