基山町の基肄城跡にある天智天皇欽仰之碑。銘板がはめ込まれていたような跡がある=同町基山山頂

 基山町の国特別史跡・基肄(きい)城跡にある「天智天皇欽仰(きんぎょう)之碑」が今年、建立90周年を迎える。基肄城を築いた天智天皇の偉業をたたえる銅碑で、町のシンボル的存在として親しまれてきたが、建設当時にあったとされる銘板が欠落している。町は銅碑の保存や復旧を計画しており、「銘板が写った古い写真があれば提供してほしい」と呼びかけている。

 基山町と福岡県筑紫野市にまたがる基山(きざん)には、665年に築かれた基肄城跡があり、銅碑は1933年に建てられた。町教育学習課によると、当時は天智天皇の銅像を建てる計画だったが、宮内省の許可が得られず銅碑になったという。

 高さは約7・8メートルで、土台の基礎石に銘板がはめ込まれていたような跡(縦約30センチ、横約90センチ)がある。町に残る完成当時の写真や町民からの提供写真では、銅碑の前に障害物があったり、画質が荒かったりして銘板があるのかはっきりしない。「戦時中に金属供出されたのでは」「いたずらではないか」「そもそもあったのか」とさまざまな臆測が飛び交い、銘板は“幻”の存在となっている。

 町は本年度、建立90周年を記念して、絵はがきコンクールや展示会などを計画しており、担当者は「基肄城の歴史について町民の関心を高め、保存活用の機運向上につながれば」と期待する。

 問い合わせは同課、電話0942(92)2200。(井手一希)