佐賀県を舞台とするオリジナルTVアニメ「ゾンビランドサガ」。2018年の第1期放送から5年目となるいまも、ファンを県内各地に引き寄せ、佐賀の魅力を広める強力なツールとなっている。一方、民間の調査会社による「魅力度ランキング」では昨年、佐賀県は47都道府県の最下位に。プロデューサーであるCygamesアニメ事業部の竹中信広部長に、製作の中で気づいた佐賀の魅力と佐賀を舞台に作品を描く意義を改めて聞き、ファン待望の映画などの見通しも尋ねた。(志垣直哉)

「ゾンビランドサガ」のアニメ本編に登場した嬉野市の湯宿広場©ゾンビランドサガ製作委員会

◇いろいろ試しても佐賀県産に戻る◇

 ―佐賀県を舞台とする作品を作ってきた立場として、魅力度ランキングの結果をどう受け止めたか。

 結果について何かを言える立場にないが、気にしなくていいのではないかと思う。魅力度というより認知度に近く、みんな佐賀を知らないだけでは。うまく佐賀の情報が伝わるといい。

 ―竹中さん自身は佐賀の魅力をどう感じているか。伝え方のアイデアは。

 すごく住みやすそうだと思う。まず何を食べてもおいしい。観光向けの食も魅力だが、地の物だけで必要な食がほとんど調う強みがある。北も南も海に面した珍しい県でそれぞれの海産物があるし、季節の食べ物が常においしく、安い。特にお米は、いろいろなお米を試しても佐賀県産に戻る。そういう生活に根差した魅力がある。食料自給率の高さなどはもっと推していいと思う。

 自然との距離感もちょうどいい。ちょっと緑の中を歩くとか、海を見て帰るとか、肩肘張らずに自然を楽しめる。車で1時間走れば山も海も、歴史的な物もあり、いろいろなものにストレスなく触れられる。

 初めは不便なのかなと思っていたが、仕事があれば何の支障もないといまは感じる。わが社は(佐賀)支社があるので、私自身はむしろ佐賀に転勤したいと言っている。いまの立場では不都合があるが、10年後くらいまでには転勤したい。

 東京との交通も羽田―佐賀便があり、佐賀から飛行機に乗るのもすごく楽。いま世の中はリモート環境が整っているので、サテライトオフィスや支社などの誘致もアピールできると思う。少子化で多くの業界が人手不足になっていく今後、地方で採用して地方で働くあり方も増えると思う。 

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