メジャートランキライザーって何ですか？｜せん妄を鎮めるくすり

『せん妄のスタンダードケア Q&A100』より転載。
今回は、メジャートランキライザーについて解説します。

〈目次〉

• 過剰に興奮した脳内の神経活動を鎮める
• 患者さんの状況に応じた剤形を選ぶ

過剰に興奮した脳内の神経活動を鎮める

メジャートランキライザーは，幻覚・妄想などの原因であるドパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の受容体を遮断することにより，過剰に興奮した脳内の神経活動を鎮静させます．そのため，せん妄時に起こる強い精神運動発作や幻覚・妄想に対しても効果があると考えられています．

しかし，投与する際は過鎮静，パーキンソン症状，アカシジアなどの副作用の発症に注意が必要です．

患者さんの状況に応じた剤形を選ぶ

メジャートランキライザーは，現在，錠剤だけではなく口腔内崩壊錠や細粒，液剤，持続性注射剤などさまざまな剤形があります（表1）．

表1せん妄治療で使用される抗精神病薬の剤形

患者さんの状況に応じた剤形を選ぶことが大切です．

口腔内崩壊錠とは，口腔内で唾液によってすみやかに溶ける錠剤で，飲水や咀嚼の必要なく服用できます．すみやかに溶けることから即効性があると考えられがちですが，治療効果や作用時間は錠剤と同じです．

内用液は，原液に特有の苦みがあるものもあるため，患者さんと相談，説明のうえ，飲料に混ぜて希釈し，飲みやすくして用いることもあります．ただし，非同意投与にならないように十分注意してください．また，希釈できない飲料や薬剤もありますので注意してください．

［Profile］
林 彰子 （はやし あきこ）
千葉大学医学部附属病院薬剤部

石井伊都子 （いしい いつこ）
千葉大学医学部附属病院薬剤部

*所属は掲載時のものです。

本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

［出典］『“どうすればよいか？”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100』（編集）酒井郁子、渡邉博幸／2014年3月刊行